ガス給湯器にはさまざまな種類がありますが、戸建てやマンション・アパートなどの住宅形態や、現在お使いの給湯器の湯量や機能によって選び方が異なります。今回は、給湯器の種類を含め、給湯器の選び方について順にご紹介いたします。また、注意点についてもご紹介しますので給湯器選びのご参考にしてみてください。

ガス給湯器の選び方｜ポイント6つ

ガス給湯器の交換は、基本的に現在お使いの給湯器と同じメーカーで同じ機能、同じ給湯量（号数）への変更がおすすめです。そのため、現在ご使用中の給湯器の種類や機能を以下の手順で確認しておきましょう。

• １：給湯器の種類を確認する
• ２：現在お使いの給湯器のメーカーを確認する
• ３：設置タイプを確認する
• ４：給湯量（号数）を確認する
• ５：オート・フルオート機能の確認※
• ６：エコジョーズかどうか確認※

※現在追い焚き機能付きの給湯器をご使用の方のみ

１：給湯器の種類を確認する

ガス給湯器には大きく分けて「ガス風呂釜」「給湯専用器」「ガスふろ給湯器」「ガス給湯暖房用熱源機」の４種類があります。

【給湯器の種類】

画像引用元：ビックカメラ.com、TOKYO GAS

種類	ガス風呂釜	給湯専用器	ガスふろ給湯器	ガス給湯暖房用熱源機
機能	温め機能	給湯	給湯＋お風呂	給湯＋お風呂＋暖房
特徴	風呂の湯沸し、追い焚き、沸かし直しができる	キッチンやシャワー、風呂などの給湯ができる	キッチンやシャワー、風呂などの給湯と、自動お湯はりや追い焚きができる	キッチンやシャワー、風呂などの給湯と、自動お湯はりや追い焚き、温水暖房ができる

ガス風呂釜

お風呂に水をはってお湯を沸かすタイプの「ガス風呂釜」は、別名「バランス釜」とも呼ばれ、築年数が古い一部の物件や公営住宅を中心に使用されているタイプです。台所や洗面台への給湯機能はありません。

機能：給湯機能なし／お風呂の湯沸かし／追い焚き／沸かし直し／シャワー

給湯専用器

給湯専用器は、キッチンやシャワーなどの給湯ができる給湯専用タイプの給湯器で、追い焚き機能はありません。なかには、給湯栓を開いて湯はりした際、一定量までお湯が溜まると自動的にお湯をストップしてくれるお湯はり機能が付いているタイプもあります。キッチン、洗面所、シャワー、浴室など家中の給湯に対応していることが一般的で、一人暮らし向け住宅や築年数の古い集合住宅に設置されていることが多いタイプです。

機能：キッチン、シャワー、風呂などの給湯／お湯はり自動ストップ

ガスふろ給湯器

水を温める機能に加えお風呂のお湯はりや追い焚き機能を搭載している給湯器です。ガスふろ給湯器は、オート・フルオートに分類され、オートは給湯／追い焚き／保温が自動で行うことができ、フルオートはオート機能に加え足し湯も自動で行えます。

機能：キッチン、シャワー、風呂などの給湯／自動お湯はり／追い焚き／保温

ガス給湯暖房用熱源機

ガス給湯暖房用熱源機は、「ガスふろ給湯器」の機能に加え、温水を利用した浴室暖房乾燥機やミストサウナ、床暖房などの暖房機器に接続できる給湯器です。熱源機で加熱した温水を循環させ、その熱で暖房機器を使用することができます。

機能：キッチン、シャワー、風呂などの給湯／自動お湯はり／追い焚き／保温／温水暖房

現在お使いの給湯器の種類を知るには取扱説明書を確認するか、給湯器リモコンに設置してあるボタンを確認するとよいでしょう。なお、追い焚き機能がない「ガス給湯専用器」から、追い焚き機能付きの「ガスふろ給湯器」「ガス給湯暖房用熱源機」などに変更する場合は配管工事などが必要になる場合があります。

２：現在お使いの給湯器のメーカーを確認する

基本的に、給湯器の交換は現在お使いのものと同じメーカーでの交換がおすすめです。メーカーやシリーズが変わると給湯器本体のサイズが変わり、配管接続の位置がズレてしまい配管を切断・延長しなければならない可能性があります。同じメーカーの給湯器と交換するケースに比べ工事費がかかってしまうこともありますので、給湯器を交換する際は同じメーカーのものを選ぶようにしましょう。

現在ご使用中の給湯器のメーカーを調べるには、給湯器本体をご確認ください。

給湯器のメーカーには次のようなものがあります。

東京ガス／大阪ガス／リンナイ（Rinnai）／ノーリツ（NORITZ）／パロマ（Paloma）／コロナ（CORONA）／パーパス（PURPOSE）／CHOFU

３：設置タイプを確認する

給湯器を交換する場合は、基本的に現在の設置タイプと同じものへの交換がおすすめです。ただし、戸建ての場合は場所によっては壁掛けタイプから据置タイプへの変更など、設置タイプを変更可能なケースもあります。戸建てとマンション・アパートのような集合住宅では、給湯器の設置場所によって取り付け可能な給湯器が異なりますので、給湯器の設置タイプを確認しておきましょう。

戸建ての場合

画像引用元：YouTube｜生活救急車ちゃんねる

• 壁掛タイプ…外壁に固定されているタイプで、給湯器下側から配管が出ています。配管カバーによって中の配管が見えないものもあります。
• 据置タイプ…屋外地面に据置で設置されているタイプで、給湯器側面から配管が接続されています。浴槽内側の循環アダプター（浴槽に付いているお湯が出てくる丸い部品）が１つの場合は据置タイプとなります。
• 浴槽隣接タイプ…屋外地面に据置で設置されているタイプで、給湯器側面から配管が接続されています。浴槽内側の循環アダプター（浴槽に付いているお湯が出てくる丸い部品）が２つある場合は、浴槽隣接タイプとなります。

マンション・アパートの場合

画像引用元：YouTube｜生活救急車ちゃんねる

• 壁掛タイプ（ベランダ設置）…ベランダの壁に固定されているタイプ。
• PS標準設置タイプ…玄関脇にあるPS（パイプシャフトまたはパイプスペース）内に設置されているタイプで外から給湯器が見えます。
• PS扉内設置タイプ…玄関脇にあるPS（パイプシャフトまたはパイプスペース）内に設置されているタイプで、扉で覆われているので給湯器本体が外側から見えません。

風呂釜の場合

画像引用元：TOKYO GAS

風呂釜の機械本体は浴槽の隣に設置されているタイプや、風呂釜の給排気用の穴の部分に機器本体を納める外側からは見えないタイプのものがあります。

４：給湯量（号数）を確認する

現在の湯量で不便さを感じていないのであれば同じ号数の給湯器への交換がおすすめです。号数とは湯量を表し、号数が大きいほど一度に大量のお湯を使うことが可能です。一般家庭では16号／20号／24号が多く使用されており、それぞれの湯量の目安は以下の通りです。

給湯器の号数
16号	一度に複数の箇所で給湯しない方におすすめ。家族1〜2人向け。
20号	シャワーと給湯など同時に2箇所で利用可能。家族2〜3人向け。
24号	同時に複数箇所でお湯を使う方におすすめ。家族4〜5人向け。

画像引用元：YouTube｜生活救急車ちゃんねる

現在お使いの給湯器の給湯量（号数）は、給湯器本体に貼付されているシールに記載の型式（型番・品番）から確認できます。型式の頭文字のアルファベットの次に記載の数字が号数となっています。例：「TP-SQ166B-1」の場合は16号／「RUF-2006SAW」の場合は20号／「DH-N2412AWADL4」の場合は24号。

５：オート・フルオート機能の確認

※現在追い焚き機能付きの給湯器をご使用の方のみご確認ください。

お湯はり／追い焚き／保温／たし湯などの機能をどこまで自動で行うかによって、給湯器はオートまたはフルオートに分かれます。

【オートとフルオートの違い】

給湯	オート	フルオート
自動お湯はり	〇	〇
自動追い焚き	〇	〇
自動追い焚き＆自動保温	〇	〇
自動たし湯	ー	〇
入浴検知による自動追い焚き	ー	〇
追い焚き配管の自動洗浄	ー	〇

オートは、お湯はり／追い焚き／保温を自動で行い、たし湯は手動です。一方、フルオートは、お湯はり／追い焚き／保温／たし湯を全自動で行い、排水時には追い焚き用配管内の自動洗浄も行われます。なお、オートタイプからフルオート給湯器への変更は、浴槽の側面を覆うカバーを外すことができるか？配管を増設できるか？などの諸条件によって変更出来ない場合もあります。

６：エコジョーズかどうか確認

※現在追い焚き機能付きの給湯器をご使用の方のみご確認ください。

画像引用元：パロマ

エコジョーズとは、少ないガス量で効率よくお湯を沸かす省エネ性の高い給湯器です。従来の給湯器に比べガス使用量やCO2排出量を10〜15％削減でき、ランニングコスト代を抑えられる一方、本体価格や修理・交換費用が高くなります。
2002年10月以降に設置され始めた給湯器には、エコジョーズ製品のものが多くあります。

ご自宅の給湯器がエコジョーズ製品の場合、給湯器本体にエコジョーズマークが貼られていますので確認しておきましょう。

給湯器交換｜７つの注意点

• １：集合住宅の場合は事前に管理会社に確認する
• ２：給湯器の設置場所変更に注意
• ３：給湯量（号数）変更は、ガスメーターの能力に注意
• ４：給湯量（号数）変更は、追加工事に注意
• ５：オートからフルオートへの変更は条件に注意
• ６：エコジョーズは排水・排気に注意
• ７：沿岸部にお住まいの方は塩害に注意

１：集合住宅の場合は事前に管理会社に確認する

マンションやアパートなどの集合住宅にお住まいの方は、給湯器交換の前に必ず管理会社や管理組合に相談しましょう。賃貸の場合、経年劣化による故障の修理費や交換費用は大家さんや管理会社が負担することが一般的です。分譲マンションの場合は、マンションの規約で給湯器の機種・号数・設置場所・色などが予め定められている場合があり、管理組合に申請をしないと交換できないケースもあります。給湯器の修理・交換を検討する際は、事前に大家さんや管理会社、管理組合に相談するようにしましょう。

２：給湯器の設置場所変更に注意

給湯器の設置には消防法により定められた設置基準を満たす必要があります。ガス給湯器本体の前方・後方・側面には定められた隙間を空けて修理・点検スペースを確保する、排気口付近に物がないなど、細かな設置基準がありますので注意が必要です。また、設置場所変更には水道管や給湯管の取り替えや延長工事も必要になるケースもあります。
給湯器交換時に設置場所を変更する場合には、資格を持った専門業者に安全に設置してもらいましょう。

３：給湯量（号数）変更は、ガスメーターの能力に注意

画像引用元：YouTube｜生活救急車ちゃんねる

給湯器の湯量（号数）をアップしてもガスメーターの能力が足りないと給湯量が変わらないことがあるため、給湯量（号数）を増やしたい場合はガスメーターの能力を事前に確認する必要があります。ガスメーターの能力を確認するには、ガスメーター本体に貼付してあるシールのアルファベットの後ろにある数字（号数）をチェックしましょう。

【ガスメーターの号数と給湯器の号数】

		ガスメーター4号	ガスメーター6号	ガスメーター8号
一般的なガス給湯器	16号	〇	〇	〇
	20号	〇	〇	〇
	24号	×	〇	〇
エコジョーズ	16号	〇	〇	〇
	20号	〇	〇	〇
	24号	〇	〇	〇

例えば、ガスメーターに「NB 4」と記載がある場合は、一般的に16号または20号の給湯器が使用できます。ガスメーターに「NB 6」と記載がある場合は16号〜24号の給湯器が使用可能です。なお、マンション・アパートなどの集合住宅の場合は建物全体のガス供給量が定められている場合もあるため事前に管理会社へ確認が必要です。

４：給湯量（号数）変更は、追加工事に注意

給湯器の湯量（号数）を変更する場合は、給湯器の交換工事の他に配管のサイズを変更するための大掛かりな工事が発生する場合もあります。配管工事は契約しているガス会社でしか対応ができませんので、事前に配管工事の必要性をガス会社に確認しておきましょう。

５：オートからフルオートへの変更は条件に注意

オートから、お湯はり／追い焚き／保温／たし湯／配管の自動洗浄を全自動で行うフルオートに変更する場合は、大きく３つの条件を満たす必要があります。

• 浴槽の側面カバー（エプロン）を外せるか
• 配管を増設できるか
• 循環アダプターを交換できるか

１）浴槽の側面カバー（エプロン）を外せるか

画像引用元：エルデハウスクリーニング

浴槽が埋め込まれている場合、浴槽が床や壁と繋がっている場合、浴槽の側面カバー（エプロン）がゴムパッキンで固定されている場合は、浴槽の側面カバー（エプロン）が外せないためフルオートへ変更できない可能性があります。

２）配管を増設できるか

オートとフルオートは配管の本数が異なります。オートは配管が1本、フルオート配管が2本なのでフルオートに変更する場合には配管を増設する必要があります。壁に穴を開けられなかったり床下がない場合には、配管を増設できないためフルオートへ変更できない可能性があります。

３）循環アダプターを交換できるか

循環アダプターとは、浴槽の内側に付いているお湯が出てくる丸い部品の事です。オートからフルオートに変更する場合は、オート用の循環アダプターからフルオート用の循環アダプターに交換できるかどうか確認が必要です。
また、循環口が奥にあって作業できない場合や、浴槽の側面カバー（エプロン）が外れない場合にはフルオートへ交換できない可能性があります。

これらの基準を満たしていれば、基本的にはオートからフルオートへの変更が可能です。ご自身での判断が難しい場合には専門業者に依頼するとよいでしょう。

６：エコジョーズは排水・排気に注意

エコジョーズを設置する場合は、排気熱を再利用する際に冷えて凝縮した水「ドレン水」を排出するための配管工事が必要です。酸性の「ドレン水」は下水道法において汚水に該当するため垂れ流しが禁止されており、汚水経路に排出するドレン配管工事を行います。
また、エコジョーズの排気は酸性なので、排気口付近に鉄やアルミ製の金属の物が置いてあると錆びたり、壁や物置の塗装が剥がれたりするケースがありますので注意しましょう。

７：沿岸部にお住まいの方は塩害に注意

画像引用元：リンナイ

塩害とは、塩分を含む風や海水などによって給湯器が劣化や腐食する被害のことをいいます。一般的な給湯器は塩害対策が施されておらず、海沿いのご自宅に設置してしまうと給湯器本体が塩害による錆により腐食してしまい故障の原因になります。
海浜地域（海から300m以内）に給湯器を設置する場合は、「耐塩害仕様品」の給湯器を選ぶようにしてください。

給湯器を選んだら専門の業者に依頼しましょう

交換する給湯器を選んだ後は、必ず専門の業者に依頼しましょう。給湯器を取り寄せたからといってすぐに取り付けできるわけではなく、メーカーや給湯器の種類によって取り付けに必要な部品が異なります。また、ガス給湯器の交換は有資格者が行わない場合は法律違反になるうえ、配線不良による漏電やガス漏れなどの危険が伴い爆発事故のリスクもあります。
給湯器の交換の主な依頼先は以下の通りです。

【ガス給湯器交換の主な依頼先】

	費用	スピード	選べる	安心	こんな方におすすめ
ガス会社	△	◎	△	◎	安心を求める
給湯器メーカー	△	◎	△	◎	安心を求める
家電量販店・ホームセンター	〇	△	◎	〇	ポイント利用したい
リフォーム会社	△	△	〇	◎	リフォーム検討中
電力会社	△	△	△	◎	オール電化検討中
給湯器専門業者	◎	◎	◎	◎	価格・スピード重視

ガス給湯器の交換を専門におこなっている給湯器専門業者は、その他の依頼先に比べ給湯器の品揃えが豊富で、給湯器本体も5〜8割引の価格で購入できます。また、地域密着型が多く対応が迅速で、給湯器交換を専門に扱っているため知識やノウハウが豊富です。

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